![]()
注目度:
0.19
|
私の画業の大きな転換点となった、「日本国憲法の心を描く」シリーズ作品では、私たちの足元に当り前に在る「憲法」というモノを、人間社会と文化の原点を探るモチーフとして、5年がかりで絵画に表現しました。全110点が完成してから5年、私の作品は全てのモチーフが「土」の上に存在すると考え、相変わらず分厚いマチエールで油絵具を不器用にも1年がかりで重ね続ける地道な描法で描いています。草花も水も空気も器も生き物も、全てをその足元に当り前にある「土」から描き始めないと気がすみません。
今回、私が住む奈良県葛城市が相撲発祥の地という縁で、力士の稽古を取材しました。力士たちは、まわし一丁で「土」の上で汗を流し誇るべき文化を育んできました。それは実にシンプルで美しい人間の営みであると感じます。力士たちを描いて、「土の上のシンプルな美」を憲法作品以来、無意識のうちに探ってきたことに最近気づきはじめました。ますます分厚く、不器用にもひたすら絵具を重ねつづけながら、無駄を削りシンプルで深い美を発見したく思います。 「土」の上に逞しく生きる、北イタリアと南国ベトナムでの直近の取材ドローイングも、今回初めて油彩作品と合わせて出品させていただき、私の探し物を見つめてみたいと思います。どうぞご高覧ください。 弓手研平 略歴/1970年大阪府生れ。1996年大阪芸術大学美術専攻科修了。1997年昭和会展日動美術財団賞。一水会展佳作賞3回、新人賞(’95)、文部科学大臣賞(’13)。2009年損保ジャパン美術賞。 現在、一水会委員、研水会委員、日本美術家連盟会員など。
※掲載情報について |
|
|
掲示板を読み込み中です....