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「映画は生きものの仕事である」
「記録なければ事実なし」—没後一年、その思考と行動の軌跡をたどる 2008年6月24日、日本のドキュメンタリー界を代表する映画作家、土本典昭監督が逝去されました。1928年、岐阜県に生まれた土本は、1956年に岩波映画製作所に入社、映画作りの研鑽を積むとともに、黒木和雄・小川紳介などドキュメンタリーの同志との交流を深めながら、映画と世界とのかかわりを模索しました。1963年には国鉄のPR映画『ある機関助士』のダイナミックな表現で頭角を現しますが、その後に直面した水俣病の現実が、映画作家としての土本の生涯を決定づけます。『水俣 患者さんとその世界』(1971年)に始まる「水俣」シリーズは、撮影対象に徹底して寄り添い、問題の深奥をえぐる一貫した姿勢を通じて国内外の観衆に衝撃を与えました。また1980年代以降は主題の幅をより拡げ、その著作とともに今日まで日本のドキュメンタリー界を牽引してきました。「映画は生きものの仕事である」との信念のもとに生み出されたその作品群は、社会への批判精神だけではなく、人間や他のあらゆる生命に注ぐ視線の暖かさによっても特徴づけられます。 監督の没後一年となるこの機会に、フィルムセンターは、ご遺族や製作プロダクションの所蔵する写真や遺品を中心とする展覧会を開催し、この記録映画の巨星の思考と行動の軌跡をたどります。小ホールでの上映企画「ドキュメンタリー作家 土本典昭」と併せてご鑑賞ください。
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