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ヨーロッパの中央部に位置する小国チェコは、人形劇大国です。周囲を様々な国に囲まれ、ドイツやロシアなど大きな国に、政治的あるいは軍事的に介入されながらも、抵抗を続け、それがチェコ独特の文化を生みました。それを最も象徴するのが、チェコ人の人形との関係です。
小さいものが大きいものに対抗するためには、まず知恵が必要です。そして、ユーモアが必要です。また、言葉を介さない豊かな表現力も必要です。人と人形の関係に、チェコ人はそうした知恵やユーモアや表現力を注ぎ込みました。 また、地理的な特徴から、ヨーロッパの様々な文化や表現が、チェコに入り込みました。しかし、その中に埋没するのではなく、様々な文化や表現を取り入れながらも、独自の文化に昇華させる技術力としたたかさが、チェコ文化の魅力を高めました。 人形アニメーションのパイオニアであるトルンカを始め、そのアニメーターを長らくつとめたポヤルは、人形劇の伝統を、映画のフィルムというより大きな世界で、自由かつ大胆かつ繊細に飛翔させました。またシュヴァンマイエルは、人形と人との関係を、独自のシュルレアリズムの手法で、アニメーションの枠を飛び越えた鮮烈な映像体験として、観客の世界観そのものを揺さぶります。 「パットとマット」や「ぼくらと遊ぼう!」、「善良な兵士シュベェイク」などには、小さいものへの寛容さと、人間の愚かしさへのシニカルでありながら、深い愛情が感じられます。 世界的に不安定で先の見えない状況の今日。こうしたチェコのアニメーションの持つ、小さきもののしたたかさ、ユーモア、豊かさは、大人から子供まで幅広い人間にとって価値があり、これからの世界を生きていく為の力を、与えてくれるものになるのではないでしょうか。
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