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「材料への喜びを見出しうる人にこそ、自然の美しさが大きく見ひらかれる」
(宮本三郎『少年の画室』,1956年,東峰書房) 画材と表現の密接な関係は、食材と調理の関係にとてもよく似ています。画材は食材、絵画の技法は料理のレシピ。そのような見方をすると、美術もまた別の楽しみかたがあるのではないでしょうか。 紙やカンヴァスと、鉛筆や絵具などの画材によって構成されている絵画。洋画家・宮本三郎(1905-1974)は、これらの画材を自在にあやつり、多くの作品を生み出しました。 「一枚一枚と描くにしたがって、ザラザラした粗末な紙にも、一本の鉛筆から生れる線にも、ある喜びがわき出てきます。この、材料そのものへの愛情や喜びを見出すことこそ、あなたのデッサンの進歩に大きな力となるのです。」(宮本三郎『少年の画室』,1956年,東峰書房) この言葉からは宮本の画材への愛着が読みとれます。材料への愛情とそれを使う喜びが、彼の画家としての豊かな知識と確たる技術を培うことにつながり、その多彩な絵画表現を支えていたのでしょう。 本展では、宮本三郎が愛用した絵筆や絵具、パステルなどの画材をご紹介し、それら画材の持ち味をぞんぶんに活かして描いた人物、静物、風景、カットなどを展示いたします。宮本三郎の絵画のレシピ、そして、その色とりどりの表現を味わっていただきたいと思います。
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